GEAR & IDEAS / 道具と工夫
重い、かさばる、邪魔、面倒。
それでも持って潜っています笑。
TG-5からNikon D850に替えて、もう7年ぐらいになります。今ではカメラを持たずに潜ることはありません。持てないなら、潜りません笑。
ただ、一眼を買う前は、水中で写真を撮ること以上に、この大きな機材を持ってちゃんと潜れるのかが心配でした。
費用や機材選びの話は別の記事に書いたので、今回は準備、海への出入り、水中での扱い、帰ってからの写真の楽しみまで。実際に持って潜るようになって、何が変わったのかを書いてみます。

01 / DIVING WITH A CAMERA
最初に心配だったのは、海への出入り
一眼を始めた頃は、まだ50本程度しか潜っていませんでした。
ただでさえ重いタンクを背負っているのに、そこへ大きなハウジングとストロボ。重いし、かさばるし、なんなら傷を付けたくないので丁寧に扱わなきゃいけない。これを持って海に入れるのか? という心配は大きかったです。
もっと言うと、エントリーよりエキジットですよね。大瀬崎の湾内はともかく、先端のゴロタや、外海の柵下。何も持たなくても大変なところを、カメラを持って歩くわけです。行ったことがある人なら分かると思います・・・。
初めて一眼を持って潜ったときは、確かボートダイビングだったと思います。そのときはガイドの方や船長さんがカメラを受け渡ししてくれたので、心配していたエントリーとエキジットは特に困りませんでした。
船やお店によってやり方は違うので、初めて持ち込むなら、どう受け渡しするかは先に聞いておくといいと思います。
ビーチでは、スナッピーコイルがかなり大事
カメラを手で持つためのランヤードだけでなく、伸縮するスナッピーコイルでBCDとカメラをつないでいます。

ビーチ専用というわけではありませんが、これがないと一人で運ぶのはかなり厳しいです。私にとっては、結構重要なものですね。
泳いで移動していて、すぐには撮らなさそうなときは、コイルのバックルをカチッと留めます。それに片手を添えて、BCDとの接続と手の2点で持つ感じです。
被写体がいそうなところまで来たら、接続自体は残したままバックルを外し、コイルを伸ばして片手で保持します。移動中に両手で持つことはあまりありません。ドルフィンスイムやワイド撮影で、いつ被写体が来ても撮れるようにしたいときは両手で持つこともあります。
02 / DIVING WITH A CAMERA
基本の4点だけで約5.1kg
どれぐらい重いのか。普段使っている105mmの構成で、ボディ、レンズ、ハウジング、ポートの重さを足してみました。
| 機材 | 重量 | 内訳 |
|---|---|---|
| Nikon D850 | 1,005g | バッテリー・XQDカード込み |
| AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED | 750g | レンズ |
| SEA&SEA MDX-D850 | 2,850g | ハウジングのみ |
| SEA&SEA DXマクロポート87 | 505g | マクロポート |
| 4点の合計 | 5,110g | 約5.1kg |
メーカー公表の陸上重量を合算した目安です。実際に組んだ一式の実測値ではありません。
仕様:D850 / 105mm / MDX-D850 / DXマクロポート87
ストロボもアームもライトも付けていないのに、もう約5.1kgです。
ここにストロボ2灯、アーム、クランプ、ライト、MFO-3などが加わります。そりゃ重いですよね笑。
海までの持ち歩きだけでなく、そもそもこれをどうやって現地へ運ぶのかも悩みます。私はダッフルバッグに詰めています。実際の入れ方は、別の記事に写真付きで載せています。
03 / DIVING WITH A CAMERA
ハウジングは前日のうちに
充電するものは、カメラ本体だけではありません。ストロボやライトもちゃんと充電しましょうね。ここはTGでも外付けの機材を使っている人なら同じです。
バッテリーの持ちは機種や撮り方によります。私のD850では1本で1日持つことが多く、撮影枚数によっては2日使うこともあります。
一方で、ミラーレスを使っていて、ダイビングのたびに交換している方もいました。これは珍しいケースだと思いますが、感覚としては、少なくともメインと予備の2本は用意しておきたいですね。
ハウジングへのセッティングは、なるべく前日のうちに済ませたいタイプです。現地で慌ててやるより、落ち着いてOリングに髪の毛やゴミが挟まっていないか確認したいので。
地上移動ならボディとレンズをセットし、コンバーターやセンサーの電池も確認して、バキュームのチェックまで済ませておきます。飛行機で移動するときは、リチウム電池まわりを外すなど、航空会社の持ち込み条件に合わせて準備しています。
ここで忘れたくないのが、ホットシューへの接続と、光コンバーターの電池です。カメラのバッテリーを入れたから準備完了、ではありません。この2つも確認してからハウジングを閉めましょう。
私のリークセンチネルでの準備
今使っているリークセンチネルは、ハウジングを開けずに外側からスイッチを操作できます。前日にポンプで空気を抜いてチェックし、負圧を保ったままセンサーの電源を切る。当日は潜る前に電源を入れる、という流れです。
このやり方なら、センサーを一晩つけっぱなしにしなくて済みます。ただ、機種によって操作や電源の切り方は違うので、手元の説明書に合わせてください。
リークセンチネルで気を付けたいのは、外側の保護キャップです。内側のゴムバルブだけでは防水されないので、操作した後はキャップをきちんと閉めます。写真のようにキャップを開けたまま、水に入れてはいけません。
ただ、このキャップのプラスチック部分の接着が取れて、水没につながったケースがあったようです。ハウジングを開けずに電源を入れられるのは便利ですが、そこの機構が水没の原因になるとは・・・。致命的ですね笑笑。
ちなみに、私自身はこのリークセンチネルを使っていて、水没したことはありません。
04 / DIVING WITH A CAMERA
水中では、重さも撮り方も変わる
最初は水中での重さを何も考えていなかったので、カメラにフロートを一切付けていませんでした。結果、水中でもしっかり重かったです笑。
ウエイトを減らしたくなるぐらいの勢いでしたが、カメラを手放しても浮力を保てるように、体のウエイト調整とは分けて考えます。
個人的には、カメラが中性浮力なのはあまり好みではありません。今でもそこそこマイナス浮力で使っています。これは完全に好みの話で、持っていて重いならフロートで調整した方が楽です。
マイナス浮力は筋肉で補いましょう。フロートと違って無料です笑。まあ、無理して重くする必要はありません。
きれいには写る。でも、最初から思いどおりには撮れない
TG-5から替えたときは、やっぱりはるかにきれいに写るな、という印象でした。センサーも画素数も違うので、そこは大きな変化です。
ただ、買ったらすぐインターネットで見ていたような写真が撮れるかというと、そうはいきません。
陸で一眼を触っていた人でも、水中では勝手が違います。ハウジングに入れるとボタン配置に違和感がありますし、シャッター半押しの感覚も、被写体との距離感も違います。自分の姿勢だって安定しません。波や流れもあります。
一眼を始めた頃の写真は、こんな感じでした。ストロボも当たってないし、結構な感じの写真ですね・・・笑。
そして、こちらは2022年のカクレクマノミと、2025年のハナビラクマノミ。
結構、数年で変わるもんですね。
なので、最初にうまく撮れなくても、下手だからと決めつけなくていいと思います。慣れるまで戸惑うことはあります。その成長過程も楽しんで撮っていきましょう笑。
動く魚にも目が向くようになった
撮るものも変わりました。TG-5の頃はウミウシばかりでしたが、一眼に替えてからは動く魚にも目が向くようになりました。私には、ここがかなり大きな違いです。
もちろん、ファインダーの中で被写体を追い続けるのは、慣れるまで結構大変です。D850でのぞきながら魚を追うと、思ったところに入ってくれないことがあります。
一眼レフの光学ファインダーと、ミラーレスのEVFは見え方も違います。EVFも、のぞいて使うファインダーのことです。背面モニターを見ながら撮る方法もあるので、このあたりはカメラやハウジング、好みによりますね。
05 / DIVING WITH A CAMERA
粘りたい。でも、周りも見ましょう
一眼を使うと、やっぱりきれいに撮りたいし、構図やタイミングにもこだわりたくなります。そうすると、一つの個体に「粘る」ことを始めるわけですね。
生き物を観察する時間は長くなりましたし、近づき方も丁寧になると思います。その一方で、撮影に夢中になりすぎるのは本当に気を付けたいところです。
何枚か撮ったら、一度周りを見る。ガイドやバディが移動しているのに、いつまでも同じところで撮り続けない。どのぐらい撮影に時間を使いたいのかは、事前に話しておいた方がいいですね。
お店を利用してほかのお客さんもいるなら、当然、撮影は譲り合いです。同じチームだけでなく、別のお店の人が撮りに来ることもあります。大瀬崎などでは生物情報が公開されているので、人気の被写体に人が集まることもありますよね。
ある程度撮ったら、次の人に譲りましょう。ハゼなどは、できるだけ引っ込めないように。すぐ引っ込む個体もいるので、どうしようもないときはどうしようもないです笑。
もっとじっくり撮りたいなら、潜り方の合うバディと、現地のルールや自分たちの技量に合ったセルフダイビングをする選択肢もあります。生物情報に頼らず、一から探すところも含めて楽しめるなら、それもいいと思います。
撮り終わった後の巻き上げも、気にしてほしい
写真を撮るなら、中性浮力や姿勢のコントロールは必要です。撮影しているうちに、だんだん意識するようにもなります。
場所や被写体によっては、サンゴや生き物を傷めない足場を確認して着底することもあります。ただ、どんな撮り方でも、砂や泥の巻き上げは本当に気を付けたいです。
もちろん、完璧にゼロにするのが難しいときもあります。気になるのは、撮って満足したら、その後はもう知りませーん、という離れ方です。
私もそこまで上手に潜れるわけではありませんが、被写体に近づくときと、撮り終わって離れるときはかなり意識しています。ここをみんなで気にできると、みんなハッピーですね笑。
06 / DIVING WITH A CAMERA
忘れ物と落とし物は、本当に気を付ける
一番困ったのは、忘れ物です。レンズは忘れないようにしましょう。1敗していますので・・・。
沖縄に14–24mmを持っていくのを忘れ、現地で魚眼レンズを買うことになりました。その話は機材の記事に書いています。
それ以来、パッキングが終わったら、バッグに入れたものでカメラ一式を組み立てるところを頭の中で想像しています。
ボディ、レンズ、コンバーターの電池、センサー、アーム、ストロボ、ライト、クランプ、MFO-3、光ファイバー。ストロボの充電もしたか。実際に使う順番で思い浮かべる感じです。
結構ガチめに、これをするようになって忘れ物はほぼなくなりました。
あとは、光ファイバーや電池の予備ですね。光ファイバーは稀によく切れるので、予備が1本あるとやっぱり安心です。
マグネットだけには任せたくない
水中での落とし物も、本当に気を付けましょう。GoProや、TGに付けるワイコンなどですね。
私はマグネットだけの固定は信用していません。使うなら、紐を付けるなど、外れてもなくならないようにしておきたいです。
ワイコンをなくした、GoProを落とした、と聞くと、本人が一番悲しいのはもちろんですが、周りにいても悲しくなります。忘れ物も落とし物も、できるだけなくしたいですね笑。
07 / DIVING WITH A CAMERA
片付けは面倒。写真を見るのは楽しい
潜り終わったら、塩抜きは現地でするようにしています。やることはTGと同じですが、ハウジングはボタンやダイヤルが多いので、そのぶん手間はかかります。
閉じたまま真水につけて、ダイヤルをくるくる回したり、ボタンをぽちぽち押したり。塩が残らないようにします。現地では基本的にハウジングを開けず、周りの水気をタオルで拭いて収納します。
最初の頃は、帰宅後もお風呂に水をためて塩抜きしていました。ただ、面倒なので、最近は現地で終わりにしています。
ハウジングはあまりないのですが、ストロボは適当にやってしまって、塩が付いていることもあります笑。みなさんはちゃんとやりましょうね。
正直、パソコンで写真を見るときが一番楽しい
家に帰ったら、できるだけすぐ写真を取り込みます。ハウジングを片付けながらパソコンへ全データを移して、その日のうちに選別し、Lightroomで現像します。
じゃないと、どんどん写真がたまっていきますので・・・笑。撮ったらちゃんとやりましょうね。
というか、正直ここが一番楽しいところですよね。パソコンで見て、しっかりピントが合っていて、よく撮れているのが分かったときが一番達成感あります笑。
逆も然りで、あーあ・・・となることも、もちろんあります。
写真を「物」にすると、また違う楽しみがある
気に入った写真は、実際にプリントしてみると結構感動します。
印刷屋さんでA3以上の大きさに刷って、額に入れて部屋に飾る。アクリル板に印刷することもできます。そうやって「物」にしてみると、ああ、やっていてよかったなと実感します笑。

※ガラスに映り込んだ照明や部屋の反射を消すため、写真の一部を加工しています。
あとは、コンテストも目標になります。私自身、大した実績を取ったことはありませんが、ほかの人に写真を評価してもらう機会があるのは、続ける楽しみの一つです。
いつか表彰されたらうれしいでしょうし、そこを目指して撮るのもいいですね。必ず一眼でなければ応募できないという話ではありませんが、私には、一眼を使い始めてからそういう楽しみも増えました。
重い、かさばる、邪魔、面倒。この四重苦は、慣れてもなくなりません笑。
基本の4点だけで約5.1kg。そこにストロボやアームまで付けたものを運んでいると、たまに「何やってんだろうなぁ・・・」と思うこともあります。
つまり、ダイビングは筋肉なんですね。迷言です笑。
それでも今は、一眼を持って潜るのが当たり前になりました。カメラを持てないなら、持たないなら、潜りません笑。
始めてから約7年。これまでの機材代を大きめに見積もって140万円とすると、1年あたり約20万円です。費用の記事で足した約126万円に、金額を入れていない小物なども見込んだ、ざっくりした計算です。
もちろん、これは過去に買った機材代を年数で割っただけで、旅費やダイビング代まで含めた年間予算ではありません。それでも、7年使って楽しんできたと思うと、私は安く感じます。
お金もかかります。
時間もかかります。
体力も消費します。
でも、それ以上に、
世界が広がる楽しみの方が
上を行くと思います。
少しでも一眼を使ってみたいなと思っているなら、さっさと始めましょう笑。重い機材を片付けた後に、パソコンで「これ、よく撮れたな」と思える写真が見つかる。その時間があるので、また持って潜っています。










