GEAR & IDEAS / 道具と工夫
小さい生き物を、もっと大きく撮りたい。
小さなウミウシや卵を撮っていて、105mmだけでは思ったほど大きく写せない。そんなときのために買ったのが、ノーティカムのSMC-1です。
新品で5万5,000円。買ったのはシングルフリップを手に入れる少し前だったと思います。
今ももちろん使っていますが、出番はMFO-3に取って代わられています。ただ、SMC-1がいらなくなったわけではなく、単純に撮る被写体の好みが変わったからです。
とにかく小さいものを大きく写したいなら、今でもSMC-1です。今回は、実際に使っている組み合わせと、ピント合わせや使い分けの話を書いてみます。

01 / SMC-1 REVIEW
105mmだけでは、小さすぎた
使っているのは、AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED。小さいウミウシなどを撮ると、近づけるところまで近づいても、写真の中では点のように写ってしまうことがありました。
この105mmの最短撮影距離は0.314m、最大撮影倍率は等倍(1倍)です。31.4cmはカメラの撮像面から被写体までの距離なので、レンズの先から31.4cm空くという意味ではありません。
それでも、もっと小さい生き物を画面いっぱいに写したい。そこで、ポートの前に付けるクローズアップレンズを買うことにしました。
当時、候補にしていたのはSMC-1とSMC-2。「SMC-2は倍率が高すぎて、使う機会があまりない」と言われていたので、無難なSMC-1を選びました。
今の組み合わせは、こんな感じです。
| カメラ | Nikon D850 |
| レンズ | AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED |
| ハウジング・ポート | SEA&SEA MDX-D850/DXマクロポート87 |
| クローズアップレンズ | Nauticam SMC-1 |
| ストロボ | INON Z-330 × 2灯 |
| 取り付け | ノーティカムのシングルフリップ |
02 / SMC-1 REVIEW
小さなウミウシ、卵、エビやガラスハゼに
よく使っていたのは、小さなウミウシや卵、あまり動かないエビやガラスハゼ、小さいハチジョウタツなど。とにかく、大きく写せることが一番の良さです。
今の高画素機ならトリミングして細部を見ることもできますが、SMC-1を付けて大きく写すと、さらに細かいところまで見えてきます。
ふわふわした絵も撮りやすくなります。小さい生き物を大きく写して、周りをぼかす。そういう撮り方が好きな方には、楽しいレンズだと思います。
ここに載せた作例は、D850+105mmマクロ+SMC-1で撮っています。絞りなどの設定は、各写真の下に添えました。

F11 · 1/250秒 · ISO100

F11 · 1/250秒 · ISO100

F11 · 1/250秒 · ISO100

F11 · 1/250秒 · ISO100

F11 · 1/250秒 · ISO100

F14 · 1/250秒 · ISO100
03 / SMC-1 REVIEW
私はAF。まずはピントが合う距離を覚える
MFで合わせる方もいるようですが、私はAFで合わせています。細かくピントの位置を調整したいならMFで撮ればいいと思いますが、AFでもしっかり合います。
ただ、慣れないと一生フォーカスが合いません笑。
こればかりは、撮影できる距離を何度も練習して、体で覚えるしかないと思います。SMC-1を付けたまま、遠くの被写体にピントを合わせようとしても無理です。
ノーティカムの説明では、100mm・105mmマクロとSMC-1を組み合わせたときのワーキングディスタンスは、おおよそ5〜10cm。レンズ前面から被写体までの距離の目安で、実際の範囲はレンズやポートの組み合わせで変わります。
寄って撮るレンズとしては距離に余裕がある方だと感じますが、105mm単体のときより近いところで合わせることになります。最初は、その感覚をつかむのが大変ですね。
あとは、撮影姿勢がめちゃくちゃ大事です。体が波に揺られにくい姿勢を取って、カメラもしっかり安定させる。105mmだけのときより、少しの前後の動きにずっと敏感です。
動く被写体は、当たり前ですが追いにくいです笑。それでも、慣れればチョウチョウコショウダイの幼魚みたいな生き物も撮れます。

F13 · 1/250秒 · ISO100
04 / SMC-1 REVIEW
ふわふわに撮るか、絞って撮るか
105mm単体と同じ絞りで撮っていても、SMC-1で大きく写すと、かなりボケ感が強く出ます。ふわふわした写真にしたいときは、そこが楽しいところです。

F7.1 · 1/250秒 · ISO100

F10 · 1/250秒 · ISO100

F10 · 1/250秒 · ISO100
ピントが合う範囲を広げたいなら、D850で撮るときはF16ぐらいから絞って撮るのがおすすめです。F22まで絞ることもあります。
ただ、F22で撮った写真で四隅が暗くなることもありました。ケラレの可能性はありますが、原因はまだよく分かっていません。
絞れば絞るほど、細部までシャープになるわけではありません。絞りすぎると、回折で細かい部分がぼやけることもあります。ただ、これは四隅が暗くなる話とは別です。
クローズアップレンズなので、どうしても寄った構図が多くなります。ある程度似通った絵になるのは、仕方ないかなという感じです。
05 / SMC-1 REVIEW
SMC-3との仕様比較と、SMC-1の取り回し
今は後継のSMC-3も出ています。SMC-3は使っていないので、ここでは公式の仕様を比べてみます。
| 仕様 | SMC-1 | SMC-3 |
|---|---|---|
| 陸上重量 | 463g | 307g |
| 大きさ(直径 × 厚み) | 70 × 54mm | 70 × 32mm |
| 最大撮影倍率※ | 2.5倍 | 2.4倍 |
| ワーキングディスタンス※ | 53〜95mm | 51〜103mm |
| レンズ構成 | 3群4枚 | 2群3枚 |
| ねじ径 | M67 | M67 |
| 耐圧水深 | 100m | 100m |
※倍率・距離は、Nikon AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-EDを使ったメーカー側の公表値です。SMC-1はフィッシュアイのNikon F用ポートチャート、SMC-3はNauticamの仕様表を参照しています。手元のSEA&SEAのポートで測った数値ではありません。
SMC-1は100mmクラスで約2.3倍と紹介されていますが、上の表では105mm用の数値にそろえました。倍率やピントが合う範囲は、組み合わせによって変わります。
2.5倍と2.4倍。0.1倍違うと言われても、あまりピンとこないですよね。数値どおりなら、それぞれの最大倍率で撮ったとき、被写体の縦横の大きさに約4%の差が出る計算です。
例えば、フルサイズの撮像面を36×24mmとして計算すると、画面いっぱいに写る範囲は2.5倍で約14.4×9.6mm、2.4倍で約15.0×10.0mm。横幅で0.6mmの違いです。これは公表値からの計算で、同じ条件で撮り比べた結果ではありません。また、どの撮影距離でもこの差が出る、という意味でもありません。
ボケ感も違うという話は聞きますが、SMC-1とSMC-3のボケの違いは未確認です。実際に撮り比べていないので、どちらの方がきれいにぼけるかは、まだ分かりません。
大きく変わっているのは、重さと厚み。SMC-3は156g軽く、厚みも22mm減っています。重さはSMC-1の約3分の2です。
ただ、手元のSMC-1も、MFO-3と比べればずっと軽くてコンパクト。取り回しで苦労したことは、特にありません。
仕様の出典(2026年10月確認):SMC-1・国内公式カタログ(20ページ)/Nikon F用ポートチャート/SMC-3・国内公式仕様/SMC-3・Nauticam公式仕様
なんなら、沖縄の砂辺No.1のエントリー口で滑って、ぶつけたこともあります。レンズ先端の金属がへこんだぐらいで、その後も問題なく使えています笑。
某所には、お客さんへの貸し出しでレンズが割れたSMC-1もあります。それでも普通に撮れているようで、ある意味最強かもしれません笑。
06 / SMC-1 REVIEW
フリップレンズアダプターは、付けた方がいい
私にとっては、フリップレンズアダプターは必須です。
水中でカリカリとレンズをねじ込んでいる時間なんてありません。いや、本当に冗談抜きで笑。袋に入れて持ち込んで、その場で出して付ける、という使い方はおすすめしません。
フリップに付けておけば、使うときは閉じて、外したいときは跳ね上げるだけ。SMC-1を使わない構図にも、すぐ戻せます。
マグネット式も、外れてなくすのが気になるので、私は選びません。TGのワイコンをなくしたという話もありますし、安いものではないので、ねじで取り付けるフリップの方がいいです。
今はノーティカムのシングルフリップを使っています。MFO-3とSMC-1は陸上で付け替えているので、次はマレラックスのダブルフリップを買うつもりです。
07 / SMC-1 REVIEW
出番が減ったのは、撮るものが変わったから
最近はMFO-3を使うことが多くなりました。理由は単純で、以前ほどウミウシや小さい幼魚を撮らなくなったからです。
105mm単体やMFO-3でも小さい生き物は撮れますが、SMC-1ほど大きくは写せません。とにかく小さい被写体を大きく撮るなら、今もSMC-1。手元の機材では、これにしかできない役割があります。
なので、出番が減ったことと、いらなくなったことは別ですね。
あ、ちなみに、小さい生き物が撮れるからといって、ブラックウォーターなどの浮遊系に向いているわけではありません。
私の撮り方では、SMC-1で浮遊系を追うのはほぼ無理です笑。体も被写体も動く中で、ピントが合う距離を保つのが難しすぎるので、浮遊系を撮るために買うのはおすすめしません。
08 / SMC-1 REVIEW
今買うなら、中古のSMC-1でいい
新品で5万5,000円でしたが、買ってよかったと思っています。外付けレンズは、間違いなく買っていいギアです。
今から買うなら、中古のSMC-1でいいと思います。どうしても欲しいのに見つからないなら、諦めて新品のSMC-3ですね。
一方で、今は100mmクラスでも、レンズ単体で等倍を超えるものが出ています。キヤノンのRF100mm F2.8 L MACRO IS USMは最大1.4倍。撮りたい大きさによっては、クローズアップレンズを足さなくても充分かもしれないですね。
ミラーレスのレンズだけ、本当に使いたい・・・。
